国本武春
くにもと・たけはる
浪曲師


国本武春は声がいい。
芸とはなにか。
庵主にとってはその声を聞くことである。
庵主は映画を見に行っても男優の声しか聞いていない。

庵主にとっていい映画とはその声に味がある映画である。
だから若い俳優のまだ味の出ていない軽い声しか
でてこない映画だと物足りないのである。
国本武春の声を聞きに行く。

国本武春のツカミは強烈である。
ただ券でその気もなしに見に来た客をも引き込んでしまう。
それがだれにも浪曲を好きにしてしまう掛声教室である。
庵主もそこで「名調子」と「たっぷり」を教わった。

その手があったか。
客席で黙ってきいているのが客ではない。
芸とは芸人と客の両者でつくりあげる場なのである。
客に芸に参加する楽しみを教えてくれるのである。

パラードのメロディーにのせて唄う
「これが、この世の、みおさめ〜か」の節はせつない。
庵主はまだ聞いたことがないが、
その忠臣蔵は絶対おもしろいという確信を持っている。

-2006.2.24-