「志の輔らくご21世紀は21日」
新宿明治安田生命ホール 平成18年3月21日
●U列2番 前売券4000円
満席。一番後列に補助席が出ていた
入りは380人ぐらいか
午後2時5分〜午後4時
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プログラム
狸の札 立川志のぽん
天 災 立川志の輔
本日のニュース 松元ヒロ
崇徳院 立川志の輔
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立川志の輔(たてかわ・しのすけ)である。
落語を聞いて心の底から、いや、おなかの底から大笑いした。
噺にはそれだけの起爆力がある。
むかし落語を聞いて身がよじれるほど笑ったことがあることを思い出した。
もう何十年も前のことであるが、
東宝演芸会で春風亭柳昇の「雑俳」を聞いたときのことである。
笑いの連発でそのときは本当に笑っていて苦しくなったことをおぼえている。
もうこれ以上は笑わせないでほしいと思って笑いこけていた若い日のことである。
前座は志のぽんの「狸の札」。
上半身がよく揺れていた。
全身貧乏ゆすりである。
なるほど貧乏ゆすりはそれが気になったときには見ていて落ち着かないものである。
志の輔の「天災」。
心学者の紅羅坊名丸先生が出てくる噺である。
二、三日前に読んだ本に出てきた紅羅坊名丸先生がここで出てきたのは奇遇である。
この噺では波状的に笑わされた。
心の底からこみ上げてくる笑いに酔ったのである。
シンガクシャのベニラボウ先生と聞いて
日本に神学者がいたかと思って心学が思い浮かばなかったのに
難しい方の紅羅坊名丸がわかったのはたまたまの理由によるとおりである。
喧嘩っぱやい職人の八っつあんに、
道を歩いていてお店の小僧さんに間違って水をかけられても
天がやったものと思えば怒る気にならないだろうと諭す紅羅坊先生。
得心した八っつあんが帰り際に戸を閉めないで帰ろうとする。
戸は閉めて帰りなさいと先生がいうと、
八っあんは、天が閉めなかったと思って気にするなと帰っていく。
一番後ろの席で見ていたが志の輔の雰囲気が談志に見えたものである。
また煙草を吸いはじめたので少し嗄れてきたという声が談志に似てきた。
手品で、
フロタトシマサが手品を演じるときの雰囲気が石田天海に似ていると思った。
二川滋夫のそれは高木重朗そっくりである。
師に似るのである。
志の輔は一時たばこをやめたという。
するとなにが起こったか。
声が喉につかえないでなめらかに出るようになったという。
そのためにかえって困ったことになったという。
セリフが喉元でためられなくなったものだから、
噺の間がうまくとれなくなって、メリハリがつかなくなって困ったというのである。
呑みにいったときに禁煙していることを聞いた呑み仲間が褒めてくれたという。
それだけ禁煙していたのなら1本ぐらい呑んでもいいんじゃない。
松元ヒロ(まつもと・ひろ)の本日のニュース。
NHKのニュースに合わせてのパントマイムはいつ見てもおかしい。
アナウンサーがニュース原稿を読んでいてつかえるところがあると
パントマイムの調子も狂うのがおかしい。
とりは「崇徳院」。
その枕がまたおかしかった。
「電話ですよ」でこの場内でも爆笑の渦に巻き込むのである。
寄席の会場で突然鳴る携帯電話の呼出音のことである。
昔はそれが鳴るとやりにくくてしょうがなかっという。
談志だったら噺をやめて高座を降りてしまうかもしれない。
いまではそれは覚悟のうえで話せるようになったという。
そのときは茅ヶ崎の大きなホールで「井戸の茶碗」を話していたという。
千代田卜斎と高木作右衛門との間を小判を持って行き来する屑屋さんが
小判を千代田卜斎のところに持ち帰った時にそのお金は受け取れないといわれ
先方に持って行かないというならこの手は見せぬぞ、斬るぞ、と言われたときに
志の輔は一本のセリフをいれたという。
そのセリフが志の輔の「井戸の茶碗」の解釈なのだという決定的なセリフを考えた。
「斬られる前に一つだけ言わせてください」と屑屋さんに主張させたのである。
続けて「そんなに持って行きたいなら自分でいけばいい」と言うセリフを入れたという。
ちょうどその段に差しかかったとき、場内で携帯電話の呼出音がなったのである。
茅ヶ崎はかつては古今亭志ん生が話しに来て
それを千数百人の客がホールで聞き入っていたという落語の先進地である。
その会場で噺に客の耳が集まっていた緊張の瞬間に呼出音がなったのである。
緊張の糸を切った呼出音にどう対応しようかという思いが志の輔の頭をめぐったという。
「斬られる前に一つだけ言わせてください」と哀願するように声をしぼり出した。
そして、「電話ですよ」。
大ホールの客は大爆笑となって、笑いはしばらくやまなかったという。
枕こそは落語の命だと本に書いていたのは小朝である。
志の輔の枕のおかしさはその最良の例といわれている。
この日のこの時間はちょうどWBC(世界野球王者戦)の決勝戦が行なわれていた。
最初の噺の時は先行していた日本がキューバに追い上げられているということだったが
トリの枕で勝ちましたといったら場内に歓声がわいた。
落語を聞きにくる客だから外国人はいなかったと思う。
ナショナリズムを楽しんできたのである。
日本優勝ということで祝杯をと思ったが
今日は祝日でどのお店も休みだから祝杯にかこつけて呑むお酒は明日の楽しみである。
ロビーゲストというのがあって開演前にロビーで芸を見せてくれる。
三味線の美人が二人、黒い着物を着て椅子に坐っていた。
松永鉄六(まつなが・てつろく)と松永鉄駒(まつなが・てつこま)のディオで
スクイーズ☆ハジキーズである。
さらに、杵屋邦寿(きねや・くにとし)とスクイーズ★ハジキーズの師匠である
松永鉄九郎(まつなが・てつくろう)の伝の会の演奏に移り
最後は四人の合奏で終わる。
三味線は聞いてもまだよくわからないがこのところ聞く機会がふえてきたのである。
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