お江戸両国亭 両国寄席
「ミスター梅介」

お江戸両国亭 平成18年4月2日
●自由席 招待券 2列目
一緒に見た人 12人
午後6時〜9時


お江戸両国亭の両国寄席でミスター梅介がトリをとるという。
落語以外の色物がトリをとるというのは珍しい。
初めての会場なのでどんな寄席かと思って出掛けたら
ビルの1階を使った椅子もパイプ椅子を置いた寄席だった。

前座の橘也の「子褒め」はおかしくはないがきっちり聞かせる。
鳳好の「味噌豆」。
鳳好は声がよく通る聞きやすい声をしている。
噺は短く終えてしまった。

金太郎の「松山鏡」。
枕の噺が「ことしゃみせん」。
ユッピーと呼んでと出てきた遊史郎は
「妾馬」(めかうま)をみっちり。

これもうまい人がやるとお鶴の兄のセリフで泣けるのだが
そこまでもっていけないのが若い人の噺である。
おかしかったのは時蔵。
「わしの葬式」である。

その死因がおかしい。
心臓の手術をしたおとうさんが、
俺もケータイを買ったぞと友達に電話する。
ほらペースメーカーの音を聞かせてやる、と。

ケータイを心臓に近づけたら
ペースメーカーが変調を来して死んでしまう。
きょうはなんでこんなに人が来るんだと聞くおとうさん。
あらいやだ、あんたの葬式じゃないとおかあさん。

そのとぼけた噺が考えようによっては恐ろしい。
生きているのに死んだことにされてしまった男の物語。
その男もかつては生きている男を。
これはホラーでもある。

おかしいけれど恐い噺だった。
髪形が鶏冠型をしている愛楽の「大工調べ」。
大家さんに対する啖呵が流暢に出てくるところは気持ちがいい。
ここでお仲入り。

今日は30キロ走ってきたという楽松は「やかん」。
「やかん」はどうしても文治の「やかん」と比べてしまう。
文治の「やかん」はどうしてあんなにおかしかったのだろう。
年をとらないと噺にならないものなか。

色物は仙太、仙次の江戸神楽。
開いた傘の上で毬、金輪、茶碗、一生升を回す芸。
丸い毬がうまく回ると家庭円満になります、と。
金輪がうまく回ると金回りがよくなります、と。

升がうまく回るとますます繁盛です、と。
茶碗がうまく回ったらどうなるのか。
それも、ちゃわんと考えてほしい。
玉と鉢を使ったお手玉。

これはお見事。
見ていると自分でもやってみたくなる。
そして輪を使ったお手玉というか輪投げ。
二人が向かい合って輪をやりとりする。

トリのミスター梅介の登場。
黒い法服で出てくる。
今日の天気は有罪、傷害罪と断罪する。
この雨で客のでばなをくじかれたから、と。

客に六法全書を渡して、
刑法の好きな条文を指さしてくれという。
その条文が何であるかを当てるという
客寄せの芸で客の気を引く。

ギャグの連発はあいからわずのサービス精神である。
が、ときにカンニングペーパーを見ながら
次のネタを思い出しているというのはよくない。
見ていてしらけるからである。

ミスター梅介の都々逸は声がいい。
きたえられたものであることがわかる。
ただ芸のテンポが早いので
おもしろさを噛みしめる前に先に進んでしまう。

時々、時計に視線を送るのが見て取れた。
客に時間を気にさせてはいけない。
20分ぐらいの芸かと思った30分やったという。
見ていてそんなに長かったとは感じなかったのである。