モロ師岡「僕の一人コント集」vol.24

下北沢「劇」小劇場 平成18年4月10日
●自由席 3000円 C−20
一緒に見た人 35人
午後7時〜8時35分


モロ師岡と楠美津香は夫婦である。
楠美津香を知ってその公演のときに貰ったチラシで
下北沢の「劇」小劇場で今回初めてモロ師岡を見る。
開演の前にカジュアルな格好でモロ師岡が出てきて前説をやる。

髪を染めるのをやめたという。
急に白髪(はくはつ)になったのでありませんよ、と。
開演までもう時間がないというのに、
またちょっと稽古してから出てきますといって引っ込む。

舞台には高座があって赤い座布団が置いてある。
最初はサラリーマン落語である。
きちんと背広を着て出てくる。
座布団に正座で噺をはじめる。

歳をとると立って演じるのがつらくなるので
将来にそなえて
坐っていてもできる芸を切り開くのだという。
真打ちは背広にネクタイだという。

二つ目はネクタイなしの上着だけ。
前座は上着もネクタイもなしのクールビズ。
将来はサラリーマン落語の師匠として
弟子をとって楽にくらしたいという。

本格落語を名乗るのもなんなので
サラリーマン落語だから着物ではなく背広で演じるという。
扇子と手拭いの代わりに万年筆と手帳を使う。
今日のネタは「OL版饅頭こわい」。

ネタとネタの間はなんと衣裳の着替えを見せてつなぐ。
舞台にハンガーを持ち出してワイシャツを脱ぎ、
ズボンを脱いでさらにパンツも脱いでソックリ衣裳を取り替える。
おっとパンツまでは脱がなかった。

ズボンの下はスパッツだった。
次の衣裳は警官の服装である。
舞台は暗くなって
高座の上に寝ているモロ師岡がぎこちなく起き上がる。

サイボーグ警官なのである。
2080年にサイボーグ化されて再生したのである。
その時代にも不良高校があって
その生徒と心を通わすロボット警官。

ギターを持ち出して生徒との交流を図る警官。
会場の客を生徒に見立てて
さあ、君たちもいっしょに唄うんだよとすすめると
場内は合唱となった。

君たちはほんとうはいい生徒なんだねと客席に話しかける。
35人の不良チックなお客さんは大笑いである。
人馬一体ならぬ、舞台と客席とが一体となってコントは進む。
しんみりしたフェードアウトで終わる、ここちよい。

またまた客前で衣裳チェンジである。
モロ師岡は4月らかNHKのテレビに出るという。
たたし、大河ドラマではない。
朝の連続ドラマでもない。

朝の連ドラに出たときは役作りを間違えたという。
板前の役でセリフもすくなかったので
思いっきり明るく演じていたら、
途中から親に捨てられた板前という設定になって

少し陰がある人物になってきたという。
ある時から陰を出すために暗く演じることにしたという。
だから見ていた人は突然板前の人格が変わったので
びっくりしただろうといって笑わせる。

今度のテレビはNHK名古屋放送局制作の
「中学生日記」の先生役である。
その先生の名前がゴキブリみたいな名前だった。
よく聞き取れなかったが名古屋近辺の駅の名前だという。

先生には子供がいるという設定なので
子ども役の少女のオーディションをやったという。
その場に臨んだモロ師岡が最初の子供に
なにげなくお父さんはなにしているの、と質問した。

すると、おとうさんはいませんと返ってきて
想定外の答えにしまったと思ってどぎまぎしたという。
次の子供にもうっかり同じ質問をしたら、
なぜかまた同じ答えで、それ以後は何も聞けなかったと。

次のネタは師匠をしくじって破門された二つ目の話。
30年振りにクラス会の出席するため故郷に返ってきた。
中学時代に悪童5人組がタイムカプセルに入れて埋めた手紙を
開ける年になったからである。

しかし父親の強い反対を押し切って落語家になったので
帰郷してもまっすぐ実家には帰れないという。
人目につかないように一つ前の駅で降りて帰ってくる途中
もう自分の墓があるのを見て父親のなお依怙地な気持ちを知る。

自分は後輩にも追い越されていつまでたっても二つ目の落語家。
しかも今は破門になってパッとしない身の上なので、
きっと出世してるに違いない他の四人に会うのはためらわれる。
カプセルを埋めた神社の境内に隠れて様子をうかがっている。

落語家の夢も断たれ自分の居場所がないという思いで
故郷の土を踏んでいるのである。
実は今回のクラス会にはよくいじめた憧れの星野さんも出席する
というので再会を楽しでためらいながらもここに来たのである。

実はさきほど見た自分のお墓というのが伏線になっている。
話が進むほどに心にしみてくるコントである。
そしてハッピーエンドのコントである。
30分あまりの話だがしんみり聞かせる笑わせるコントだった。

最後に、
今回の舞台は本日が初日です。
といっても明日はもう千秋楽ですが、
といって笑わせてくれた。