ザ・ニュースペーパーライブ vol.29
高田馬場 大人のしゃべり場
平成18年4月20日
●自由席 1800円
一緒に見た人 20人
午後7時〜8時40分
大人のしゃべり場でのザ・ニュースペーパーライブは
その熱気がたまらない魅力である。
芸は生の声、そして生の肉体が発する気を
感じることができる範囲で見るのが一番である。
その二つの条件を満たす大人のしゃべり場は
芸がよく見えるからいい。
そのかわり役者の気合が足りない時には
その分、よく疲れるのである。
芸というのは芸人と観客との気の交流なのである。
普段は大ステージを埋めるザ・ニュースペーパーが
小さいスペースで行なうライブでは気が爆発するから
場内には熱気が渦巻くのである。
というのは大人のしゃべり場が満席の時である。
この日は木曜日の公演ということもあったせいか、
普段なら満席なのにこの夜は観客が20名という少人数だった。
しかし、中身は濃かった。
最初のネタはホストクラブ永田町が舞台である。
上客の千葉奈々子をめぐって純ちゃんグループと
一郎ちゃんグループが売上争いをしている。
千葉奈々子はもちろん衆議院千葉七区補選である。
自民党の純ちゃん(松下アキラ)グループと
民主党の一郎グループの千葉奈々子の気を引こうという
駆け引きがおかしい。
一郎グループの代表が渡辺恒三(渡部又兵衛)である。
純ちゃんグループには若手のホスト杉村タイゾーが
一郎グループには永田トシヤスがいて売上を競っている。
永田にメルアドを教えると偽メールが送られてくるぞ
とか皮肉がちりばめられているネタでスタート
コントが一つ終わると谷本賢一郎の替え歌が出てくる。
きれいな高音で唄う替え歌がコントの毒を流してくれる。
余韻のある切り換えになっている。
二つ目はいま人気のというのもおかしいか、アイフルである。
悪辣な取り立てで営業停止を食らっているサラ金である。
コマーシャルの可愛いチワワが好評であるが、
そのチワワが実はこわいドーベルマンだったと
からかわれているアイフルである。
アイフルと多重債務の借り手が組んで
連帯保証人を騙すテクニックを教えてくれる。
最初ニコニコして貸してくれた顔が鬼の取り立て顔に変わる。
内容はシリアスである。
そして安楽死、いまは尊厳死というのだったか。
見限るべきか、ただ生かし続けるべきか。それが問題だ。
死にかけている老婆が又さん(渡部又兵衛)。
それがおかしい。
ベッドに寝ている老婆がうわ言をいう。
「ブルータスおまえもか」など、
東西の名セリフが又さんの口からうわ言で出てくると
場内に笑いが起こる。
そのセリフのうまさがベテランの味なのである。
それだけでおかしさがこみ上げてくるのだから。
もう治らないので治療を終了してもいいという息子の奥さん。
そんことをしてはいけないという老婆の息子。
一方、病院にとっては終末治療はお金になるということで
家族が治療をやめましょうというと
まあまあまあと治療の続行をすすめる個人病院の医者。
やっぱりもう治療をやめましょうというと老婆がうわ言をいう。
そのたびに場内に笑いが起こって
コントの状況はまたもとに戻ってしまう。
人の死を笑いにするのは不謹慎なことではあるが、
医療が進化がこれまでなかった問題を引き起こしている。
初めての状況に直面している当事者の苦悩は同情に値する。
ある程度前例ができればその後はそれにならえばいいが、
それまでの先駆者の懊悩は
現代医学が生んだ医原病であるといったら皮肉に過ぎるか。
人の命をどう見るかということは
地球の人口が60億人をこえたということから
これから始まるエネルギー争奪戦争や食糧問題を考えると
個人の自由にというわけにはいかない問題になりそうである。
日本に師匠を探しにやってきたとかいう中国人武道家の話。
ワイドショーネタである。
テレビを見ていない庵主には話の状況が見えない。
うまくひねって落ちをつけていた。
今日のネタの中で見て役に立つ一本が介護保険の改正である。
この4月から改正された介護保険の問題点を
笑わせながら教えてくれる。
改正といっても介護支援サービスの削減である。
介護保険は当初の予想以上に経費がかかって
採算が合わなくなってきたというのが改悪の理由である。
支出を減らす一環として要介護者の自立を促すという。
自分で動けるようにトレーニングさせるのだという。
馬鹿か。相手はお年寄りなのである。
これからは自立する訓練が義務づけられたんですよと介護師が
ダンベルを取りだして年寄りに押しつけるのは誇張だとしても
そんなことができない体だから介護を受けているのである。
文科省のゆとり教育といい英語教育といい、
厚労省の新しい介護制度の改正といい、
このところ優秀なはずの官僚の考えることは
なぜか間が抜けているのである。
コントのあとの歌が哀しい。
その哀調のメロディーが心にしみてくるのである。
「花」は要介護者の歌だったのかと思うほどである。
澄みきったタニケンの歌声がまたもの哀しさをそそるのである。
定年後対策セミナー
来年は団塊の世界の定年にあたる年だということで、
そういう人たちを相手にした商売が始まるという話。
コントのあとのタニケン(谷本賢一郎)の歌がいい。
「君の行く道は果てしなく遠い」である。
タニケンが歌詞をリードして会場に合唱をうながす。
「なのになぜ君は行くのか、そんなにしてまで」
場内は合唱になってもなんとなく歌に力がこもっていなかった。
最後はメンバー紹介である。
竹内康明が出演していないのは
いまほかの演劇に出演しているから。
そして4月15日に福本ヒデが結婚したという。
逆上って1月には松下アキラが結婚している。
さらに昨年の10月にはタニケンが結婚。
このところ3か月ごとに出費があるとなげく又さん。
7月にはなにもないようにといって最後まで笑わせてくれた。
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