「できちゃったらくご
in Tokyo」
日本橋 お江戸日本橋亭 平成18年5月5日
●自由席 3000円
満席 100人
正午〜午後2時50分
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プログラム
戦え!サンダーマン 月亭遊方
誕生日(講談) 旭堂南湖
奥野君の幽霊 桂三金
振り込め 桂三風
与太郎 笑福亭たま
サカイで一つだけの花 桂あやめ
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大阪の若手落語家と講談師の東京遠征である。
爆笑の6連発だった。
桂あやめ以外は初めて聞いた。
それぞれの枕の話がおもしろい。
大阪と東京の違いをおかしく語って笑わせる。
この日の場内は乗りがよくて爆笑の連続だった。
ジャンケンで出番を決めたという最初の噺は
月亭遊方(つきてい・ゆうほう)の「戦え!サンダーマン」。
遊園地のキャラクターショーに
逃げ込んできた強盗犯人が見ていた子供にナイフを突きつけて
逃走用の車と3億円を用意すれと要求する。
それをサンダーマンがみごと取り押さえる。
噺はそれだけなのだが、
とにかくおかしい。
この落語会は観客参加型だといって
噺の中のキャラクターショーの司会者が会場に問いかける。
「みんな元気かい」。
それに対して客席は「ゲンキー」の声で応える。
「年配の方も恥ずかしがらずに声を出して」と盛り上げる。
サンダーマンが登場するときはこうである。
「さあみんなでサンダーマンを呼んでみよう」。
場内一斉に「サンダーマン!」。
遊方の枕はこうである。
子供時代はいたずらだったという。
お菓子屋に行って店番のおばあさんに注文をするのだという。
このお菓子を一つとそれを二つ、それにこっちも二つ……、
いらんわ。
と行って逃げてくる。
ピンポンダッシュをやったという。
ピンポンダッシュというのは
知らない人の家に行ってインターホンのブザーを押して
家から人が出てくる前にダッシュで逃げることだという。
近所に「あなた」が大ヒットした小坂明子が住んでいたという。
そこに行って何度もピンポンダッシュをやったという。
すると小坂明子はそのたびに玄関に出てくるのだという。
小坂明子には全然学習能力がないといって笑わせる。
講談師・旭堂南湖(きょくどう・なんこ)の「誕生日」
師匠の南陵はお酒が好きで
稽古に出掛けたときに最初に聞かれたという。
お酒と稽古どっちが大切や。
南湖はまじめだから稽古ですと答えたら
そんな料簡ではいい芸人になれないと言われて
酒を呑んでから稽古はそのあとだと諭された。
しかたなく師匠のお酒につきあったという。
何時間かお酒を呑んだあとそろそろもういいかと思って
師匠に稽古をお願いしたという。
すると師匠は今日は酔ったさかいまた今度にしよ。
南湖が子供の頃学校で誕生日の子がいるとお祝いをしたという。
南湖だけは学校で誕生祝いをしてもらったことがないという。
なぜかというと8月生まれなので夏休中だったから。
それで自宅で誕生会をやることにして友達に招待状を出したが
だれも来てくれなかったという。
南湖の誕生日はよりによって8月31日だったから
その日はみんな夏休みの宿題でそれどころでなかった
といって笑わせる。
「誕生日」は南湖の誕生日にまつわる母親の思い出話である。
南湖の誕生日には母親がフルーツポンチを作ってくれたという。
それがうまかったという。
フルーツを切ってま混ぜ合わせるだけなのだが、
そのときの塩加減がむずかしいのだという。
入れすぎるとしょっぱくなるし
足りないと甘味が物足りない。
その塩加減が母親は絶妙にうまかったのだという。
南湖は講談師になるといって勘当され以後家には帰らなかった。
ある年なんの前触れもしないで実家に帰ったという。
それが8月31日だった。
ところが家についたらあのフルーツポンチが出てきたのである。
母さん、おれが今日来ること知ってたの。
なあに、あんたがいなくなってからも
毎年8月31日にはあんたのことを思って
フルーツポンチを作っているのよ。
そのフルーツポンチはうまかったという。
その母親もなくなったという。
母親が作ったフルーツポンチを真似して作ってみたが
南湖が作ると塩加減が違うのかその味にはならなかったという。
母親の味のことを思い出してふと涙したのである。
その涙がフルーツポンチの中に落ちたという。
それを口にしたら母親が作ったフルーツポンチの味だった。
というような話でもっと心にしみる噺だったのだが
この時間眠気が襲ってきて半分眠って聞いていたのである。
はっと気がついたら客席には張りつめた空気がただよっていた。
しんみりした噺にサンダーマンで盛り上がっていた客が
南湖の一言一言に引き込まれて息をつめて聞きいっている。
噺を聞きながら涙を流している(?)人もいた。
桂三金(かつら・さんきん)の「奥田君の幽霊」。
奥田君というのは三金の本名である。
三金は体格がいい、すなわちデブである。
落語仲間はスナック菓子で膨れた体といってからかっている。
その自分をネタにした爆笑落語である。
デブの奥田君が死んだときに
親は奥田君が好きだった焼き肉を棺桶にいれたという。
だから火葬場にうまそうな匂いがたちこめたと笑わせる。
ナンセンスである。
その奥田君が幽霊となって親友のところに出てくる。
どうして幽霊になって出てくるのかと驚く友人。
この体つきなので幽霊業界で馬鹿にされているという。
幅が広いので柳の木の陰にも隠れることができないから
幽霊仲間にからわれてみじめな思いをしていると嘆く。
そのうえ、自分には死ぬ前に食べたかったものがあるから
それが気になって気になって往生できないのだという。
そこで親友の肉体にとりついてあれも食べたいこれも食べたいと
ばくばくよく食うものだから友人の体がぶくぶく太っていく。
もうとりつくのはやめてくれといわれるほどによく食う。
そうして心残りだったものを食ぺ尽くしてその念願を叶える。
これでやっと往生できるといって霊界に帰っていく奥田君。
しかしまたすぐ戻ってくる。
新しいスナックが新発売されたのでそれも食いたい。
その食いしん坊の三金の枕。
大阪にどれも1串100円という串焼屋があったという。
そこで、なんでも100円なら高いネタを食べようと思って
海老をたのんだという。
見ると海老には串がちゃんと2本刺さっていた。
桂三風(かつら・さんぷう)は「振り込め」。
振り込め詐欺のマニュアルを手にいれたやくざが
詐欺をはじめるがうまくいかない。
大阪のおばちゃんは電話をすぐに信用してくれないのである。
息子さんの新車がやくざの親分が乗っている車にぶつかって
親分が新車の下敷きになって大怪我をしたという電話。
いますぐ示談金を払うなら半額ですむという。
それを聞いてあわてるお母さん。
しかしすぐお金を振り込むことはしない。
息子が事故を起こしたというけど場所はどこで、と聞かれて
想定外の質問にあわてる電話口の警官役のやくざ。
やっと取り繕って答えると、次はいつのことや。
一つ答えるたびに、どこの病院や、どんな状態や、と
次々に質問が返ってきてあわてふためく警官役がおかしい。
結局、3歳の息子に買い与えた三輪車の新車だとわかって、
それまでなんとなく話の辻褄が合っていたので大笑いになる。
次に電話をかけたところは一人暮らしのおばちゃんのうちで
それが不幸なおばちゃんで、
その話を聞いているうちに同情していまい
逆にやくざがそのおばちゃんにお金を振り込むハメになる。
振り込め詐欺という名称は
警察が命名してこれからはこう呼ぼうと提唱したものである。
当初の事件では警官と名乗る男から電話がかかってきて
被害者はその指示でお金を振り込まされていた。
その状況から、
放っておくと警官詐欺という名前がつきそうだったので
警察としてはそうなったら警察のイメージが悪くなると気づいて
機先を制して振り込め詐欺と命名したのだと庵主は思っている。
その三風の枕は大阪のおばちゃんは神経が図太いという話。
東京に来てびっくりしたのは
東京のおばさんは女性だということだという。
大阪のおばさんは男だから。
大阪ではおばさんが男便所に平気で入ってくるという。
ここは男の便所ですよといっても
あいてんのやからいいやないのといって引かないという。
そう振っておいてから本題の冷静沈着なおばさんにつなげる。
三風は「客先参加型落語」を商標登録したという、
噺の中に客を引き込んで進める落語だという。
客席参加型の落語という画期的なアイデアだったが
28万円もかけて登録したのに儲けにならないとぼやく。
笑福亭たま(しょうふくてい・たま)は「与太郎」。
落ちが二段落ち。
落ちたと思わせて、さらにどんでん返しがある。
その最後の落ちが恐い。
こわくてその噺を思い出すのも恐ろしい。
というのも今となっては思い出せないのが恐ろしいのである。
庵主の記憶力は確実に老化しているということだからである。
聞いていて大笑いしたことだけはしっかり覚えているのに。
たまの枕。
東京にきて、友達のいる西荻窪に向かったという。
東京から快速電車に乗って、荻窪で各駅停車に乗りえて
一つ先の西荻窪で降りるようにと言われたという。
教えられた通り快速電車に乗って荻窪で降りたのだという。
同じホームで待っていれば
次に来る電車が各駅停車だろうと思って
電車を待っていたら次も快速、その次も快速で各停が来ない。
二、三十分ぐらい同じホームで各駅停車を待っていたら
友達から携帯が掛かってきて今どこにいるのかというので
そのホームで待っていると答えたら
各駅停車のホームは隣だと教えられたという。
東京の電車のホームはおかしいと主張する。
いわれたとおりに隣のホームにいってまた戸惑ったという。
各駅停車のホームは快速のホームと違って
乗り場の位置が逆だったから。
北を上にして地図を書くと
快速のホームは東京行きがホームの北側なのに
各駅停車は東京行きがホームの南側にはいってくるという。
ただでも焦っているのにこんがらがってしまったとぼやく。
東京の電車のホームはどうなってんのやというわけである。
さて、桂あやめ(かつら・あやめ)の登場である。
東京の落語は座敷芸だが、
大阪の落語は大道芸から始まったら声がでかいという。
関西では神社などで出店の一角で噺をしていたのだという。
道行く人の足をとめないといけないから
その客寄せの技術は座敷落語とは違って
吸引力のある話し方になるのだという。
あやめの噺は「サカイで一つだけの花」である。
それを落語といっていいのかどうかわかりませんがと
あやめが前説に出てきたときにいっていたように
奇想天外の内容だった、爆笑である。
ネタをばらしてもいいものか思案しているところである。
いうならばミュージカル落語なのである。
SMAPの「世界で一つの花」のメロディーに乗せて
高座に花が咲くのである、そんなバカな、である。
最後には舞台に花束ができあがり、
「祝 できちゃったらくご in Yokyo」の垂れ幕がかかる
とだけばらしちゃおう、笑っちゃった。
紅一点、美貌のあやめは素敵なのである。
あやめは大阪人は日常会話でもよくツッコミをいれるという。
JR西日本で電車事故があったが、
それ以前は電車が遅れていますという車内放送があると
分かってるなら早く行かんかいとツッコミがはいったという。
いまはちがうという。
遅れをただいま回復中ですと聞くと
そんなことせんでええせんでええとツッコミがはいるという。
大阪落語の面白さを楽しめる間違いなく爆笑できる会である。
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