ミー
& マイガール
日比谷帝国劇場 平成18年6月20日
●2階M−8 4000円
満席 1900人ぐらい
午後1時30分〜午後4時35分
楽しいという口コミで「ミー & マイガール」を見てきた。
笹本玲奈と井上芳雄の若い二人を見たかったからである。
平日の午後1時半からの上演である。
ほぼ満席の客は97%が女性である。
結論からいうと楽しかった。
それゆえに全然違うことを思いながら見ていたものである。
例によってストーリーは細部まではわからなかったが、
一言でいえば「マイ フェア レディ」の男版である。
知っている演目を何度も見るということの安心感が
こういう芝居の楽しみなのである。
初めて見たときは細部が読みきれないからである。
ストーリーを追うことで精一杯になってしまう。
テレビの「水戸黄門」が安心して楽しめるのは
細部を見落としてもストーリーが分かっているからなのである。
このミュージカルも二度、三度と劇場に運んで
楽しみを深めるものなのである。
庵主の席は一番安い席だったが、
横に坐っていた女の子(そんなに若くはないか)は
手の叩き方やミュージカルに参加する
タイミングを知っていたから何度か通っていることがわかる。
一度だけ見たのでは
ミュージカルスターの名前もわからないからつまらない。
何度も劇場に通うことがミュージカルなのである。
冗談で楽日にも行ってみようかとふと思ったところである。
入場券を買ったときに付いたきたチラシによると
舞台は1930年代のロンドンだという。
イギリスの名門伯爵家が舞台である。
主人公のビル(井上芳雄)は下町育ち。
そのビルが実はなくなった当主のご落胤ということがわかって
伯爵家の跡継ぎとして貴族としての教育を受ける。
教育係はヒギンズ教授ではなくて
マリア公爵夫人(涼風真世)とジョン卿(村井国夫)の二人。
ビルにはサリー(笹本玲奈)という下町の恋人がいる。
マリア公爵夫人はビルに厳命する。
サリーとは身分がちがうのだから別れなさいと命じる。
しかしビルはサリーが好き。
ビルの財産を狙う公爵夫人の姪であるジャッキー(純名りさ)の
誘惑もあってビルとサリーの運命は前途多難。
そしてビルのためを思って身を引こうとするサリー。
そんなサリーを貴族をやめるとまでいって追いかけるビル。
ビルとサリーはどうなるのか。
もちろんハッピーエンドになるのである。
ではどうやって。
そこになんとあのヒギンズ教授が登場するのである。
さすがに帝劇のミュージカルである。
オーケストラピットにはは23人ぐらいの編成が収まっている。
指揮者がまた客を喜ばせる。
ときにはお尻を振って笑わせる。
オーケストラに拍手を貰うときには
タクトを激しく振っていっそうの拍手を要求する。
そういう遊びのあるオーケストラである。
回転舞台を使ったセットも大きい。
回り舞台の高さは3階建てぐらいの高さがある。
競り上がりもあって
装置をふんだんに使った演出は見ていて面白い。
場面がどんどん変わるからそれだけでも興味がそそられる。
幻想的なシーンも美しい。
庵主は2階席の一番後ろで見ていたから覚めていたが、
1階の前の方の席で見ている人には
あたかもその幻想に包まれているように見えたにちがいない。
唄って、踊って、芝居をするミュージカルという
西洋芝居をよく日本に持ち込んで真似することができたものだ
と感心しながら見ていたのである。
最後部席から見ているとそれは猿まねにしか見えない。
しかし前の方の席に陣取れば、
ビルが踊ってターンをするときに
井上くんの汗が飛び散るのが見えるのだという。
役者の気が伝わってくるという。
芸の面白さはその気を感じるところにある。
2階最後部席は、その気を知っている客が
あらためて舞台を見渡す席なのである。
最初からそんな席で舞台を見てはいけない。
猿まねにしか見えないと書いたが
それはあほらしいという意味ではない。
よく異国の文化を取り込んだものだという感懐である。
それまで日本人が知らなかったものを楽しむという執念。
それを本当にやってしまう日本人の器用さに感心したのである。
そしてミュージカルの楽しみが理解できる
帝劇を満席にする熱気のこもった観客がいるという
日本人の好奇心に我が意を得たということなのである。
開演時間に合わせて劇場にはいったら、
ロビーでは2階に上がる階段をステージに見立てて
ランベスウォークのレッスンが行なわれていた。
キャストがお客に生で踊り方をレッスンしてくれるのである。
観客参加型のミュージカルなのである。
そのステップをにわかにマスターすると、
芝居が始まったときにキャストと一緒に踊れるからである。
ダンスのシーンでビルがサリーがキャストが客席に降りてくる。
その時に一緒に参加できるのである。
上から見ていたらそのシーンでは客が立ち上がって踊っていた。
芸でも芝居でもただ見ているだけでは面白くないのである。
参加するとその場の楽しさが倍増するということである。
一つは掛け声である。
舞台を見ていてだまっているのは勿体ない。
面白かったら面白いといっていいのである。
このミュージカルではさらに参加できるのだからたまらない。
最近のミュージカルは
宣伝部がさっそくブログを立ち上げて客の声を載せている。
もちろん採用されるコメントは悪口は駄目で検閲ありであるが、
その反響が参考になるのである。
やらせで褒めればすぐわかるからその手はきかない。
「ミー & マイガール」にとことん魅せられた客の
生の声が聞けるのがいい。
庵主は見てからそのブログを知ったから気がつくのが遅かった。
みんなよく見ているのである。
あれも見落としていた、それも気がつかなかった、と
庵主が後から知った楽しみ方をしていることを読んで、
じゃ、もう一度見に行こうかと思ったことは前に書いた。
しかしもう見に行く時間がとれない時点だったのである。
庵主に口コミで教えてくれたのは男の人である。
若くはない人である。
「ミー & マイガール」は生で見るミュージカルである。
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