黒谷友香スペシャル
売春捜査官
新宿 紀伊国屋ホール 平成18年7月13日
●指定席 I-5 当日券2000円
観客数 420人 入り95%
午後2時5分〜午後4時5分
木村伝兵衛という男名前の女警視庁警部が黒谷友香。
もともとは「熱海殺人事件」という芝居で、
それがどんどん進化していくのだという。
木村伝兵衛を女刑事にしたのが「売春捜査官」である。
そして「女子アナ残酷物語」というのが今回のバージョン。
怒鳴り合うようなトーンの高いセリフの芝居。
きまって朝鮮人が出てくるのは
つかこうへいが在日コリアンだからか。
ど田舎から上京した少女に売春させる朝鮮人がいて、
そこに原発の放射能事故が絡んで、
伝兵衛と同郷の刑事とは過去に柵(しがらみ)があって、
伝兵衛の部下との確執があってと筋は乱麻のようである。
つかこうへいはいつもこんなトーンの高い芝居を
やっているのだろうか。
庵主のお目当ては黒谷友香である。
たっぱ(上背)がある。
動きのキレガいい、カッコいいのである。
もちろんマスク(お顔)はクール(蠱惑的)。
雑誌で見た写真の黒谷友香は足がきれい。
それが見られるかと期待していたが今回は全編パンツだった。
そして、セリフの口跡が悪い。
聞き取れないのである。
男優たちのセリフは怒鳴りながらも言葉が聞こえたのに
黒谷はセリフがつぶれてしまう。
トーンを落とした泣かせどころではちゃんと聞こえたから
啖呵の切り方がよくないのである。
芋虫もやる、男も押し倒す、口づけも交わすと
魅力的なキャラクターなのにセリフが弱い。
長崎の五島から上京した少女を売春宿に送り込む朝鮮人は
悪い人なのか。
キリスト教のユダがそうだったように、
やがて表と裏の事情はちがっていることがわかる。
五島で起こった原子力発電所の事故で
ちょっとした火傷をしただけの患者を
わざわざ東京まで運んだ理由も明らかにされる。
隠された事実が浮かび上がってくるのである。
八王子署から警視庁に赴任してきた熊田刑事と
伝兵衛の間にあった昔の出来事。
その日、熊田が待っていた駅に
なぜ伝兵衛は来なかったのか。
その事情が語られる。
と、熊田刑事は伝兵衛よりずっと背が低いことになっているが
そんなに背が低くないのはミスキャスト。
セリフと見た目が違うから困ってしまう。
昼は警視庁の警部、夜は趣味でやっている売春婦、
安月給で時には築地の魚市場でアルバイトをしている
木村伝兵衛の正体は、
実は、とある高官の高い人の娘だった。
「男が女を幸せにするというのは今時流行らない」
「女の幸せは自分でつかむ」という伝兵衛のセリフは
以前見たつかこうへうの芝居の最後のセリフ同様
男の守備範囲まで飛び込んできた女の子の虚勢である。
そのとき「今時、義理と人情は女がやっています」と
啖呵をきって芝居をしめた女の子のセリフに、
庵主はそんなことは馬鹿な男にまかせとけばいいのにと
そこに一人の薄幸な女の姿を見ていたのである。
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