林家彦いち独演会

亀有 リリオホール 平成18年9月15日
●指定席 1階1列12番 当日券 3000円
観客数 約580人 入り90%強
午後7時10分〜午後9時10分


          −−−−−−−−−−−−
                プログラム
           トーク      林家彦いち
           だるま食堂       
           反対俥     林家彦いち
           姉様キングス      
           長島の満月  林家彦いち
          −−−−−−−−−−−−−


林家彦いちの独演会である。
カジュアルな格好でトークで出てきた彦いち。
前説ではありません。
私が林家彦いちですよと自己紹介。

アメリカで英語で落語をやってきたという。
そのときに南京玉すだれをやったという。
が、空港でその玉すだれが係員に見つかって
これはなんだときかれたという。

ジャパニーズミラクルバンブーだと答えたら
パソコンでなにやら調べてきて、
そんなものはないという。
そこでしかたがなしに南京玉すだれを演じたという。

セリフは丸暗記だから
舞台用のセリフをそのままやったという。
客に手拍子をうながすセリフからはじめたら
空港の係員が手拍子を打ってくれたという。

そして玉すだれで
ロンドンブリッジを作ったら、
それを見ていた係員がいったという。
「ミラクル」。

今、寄席が忙しくて、
今日も4時半にこの会場にはいって
音合わせをしてからから
上野の鈴本演芸場にいってきたという。

ところが事前に7時帰りの出番を繰り上げてもらったのに、
それが直ってなくてひと騒ぎだったという。
この会場の開演が7時なので
あわててかえってきたという。

そういうときに限って、
リリアホールにたどり着いたのに
こんどは3基あるエレベーターが全部上に向かっていて
どれもなかなか降りて来ない。

ボタンを押せば早く降りてくるのかと思って
彦いちはせっかちにボタンを押しつづけたという。
それを見ていた会場に来るおじいさんとエレペーターで
一緒になっていわれたという。

「お兄さんも、落語が好きなのかい」
この会場にいらっしゃいますよ、その人が。
その私が彦いちです、といって笑わせる。
鈴都でとある人物に会ったという。

ある所から無事帰ってきたという。
サマワから無事生きて帰ってきた男である。
その人の名は。
好男子の、いや講談師の神田山陽である。

おっとイタリアからだった、帰ってきたのは。
東拘大を仮釈放されたときに粉飾決算のホリエモンのように
げっそり痩せていたという。
と言ったときにその一人の男が舞台を横切った。

トレーニングウェアを着ている。
「神田山陽です」と。
長い、といっても1年間だが、イタリア暮らしでも
日本語を忘れてはいなかったようである。

やつれていたというのは彦いちの粉飾である。
山陽は元気である。
山陽は一言挨拶して舞台をよぎっただけだが、
終演後の彦いちの著書の売場でサクラをやっていた。

だるま食堂の登場である。
飛び込みで入場券を買ったが、
キャンセルでも出たのだろう前から2列目の席がもらえた。
だるま食堂の顔がしっかり見えた。

観客はほぼ満席の約600人。
お客のノリがいい。
サンバクイズコーナーではリズムをとって
右手を前に突き出して「ウー」。

彦いちの一席は「反対俥」。
テンポがいい。
舞台が明るいのは、芸が軽いと同義語ではない。
ドラム缶を飛び越えるときに座布団から飛び上がる。

それを連発する彦いち。
最初はドラム缶が1個だが、次は2個と増えていく。
飛ぶたびに段々高く飛び上がるからおかしい。
落ちは前から来た芸者を俥が脇の川に落としてしまう。

俥の客が俥屋に言う。
はやく芸者をあげてやれ。
芸者をあげることができれば
俥屋なんかやっちゃいない。

姉様キングスの舞台は艶っぽかった。
色っぽいのではない。
舞台がはなやぐのが分かった。
桂あやめと林家正雀との男女コンビである。

正雀は女装で出てくるから、
師匠からはそれをやるときは正雀を名乗るなといわれている。
それで姉様キングスのときは
ジャクリーヌお染です、という。

秋篠宮が親王を授かったネタは口外無用である。
舞台でなければ聞けないネタ。
生の舞台こそ笑いの原点である。
今日は大阪に寄席の定席ができたと紹介していた。

彦いちのとりは「長島の満月」。
彦いちは鹿児島の小島でうまれたという。
長島という。
その長島で笑わせる噺である。

長島に信号機が付いたという。
島民が総出でその点灯を祝ったという。
漁師の父親が伜の運転する軽とらの荷台にのって、
「ちゃんと信号を守るんだぞ」と運転席の息子にいっている。

交通法規をきちんと守れと指導しているのである。
運転している息子は中学生だったけど。

長島にはじめてプールができたときの話。
流血の惨事になったといって笑わせる。
それまで長島では水泳は海でやっていたから、
プールに思いっきりとびこんだのである。

みんな額をわってしまった。
島内の救急車が総出になったという。
彦いちは空手をやるために上京して極真空手に入門したという。
牛殺しの大山倍達にあこがれたのである。

その牛殺しのビデオテープを手にいれたという。
相手の牛は子牛だったが。
大山倍達が熊と戦ったときは
熊野爪を全部きってあったという噂があった。

道場の先輩にそれは本当かと聞いたら、
道場の裏に来いと言われたという。
先輩にボコボコにされるのかと思ったという。
しかし真実も知りたい。

ついていったらその先輩が言った。
熊の爪が伸びていたら危ないだろう。
その真実が面白かったので、
彦いちは、いやその当時の安田青年は思ったという。

その真実のおもしろさを人に伝えることもやってみたいと。
落語家彦ろくの誕生秘話である。
生まれ故郷の長島の観光パンフレットは
満月と夕日が美しい島、と書いてあるという。

他力本願の島なのだという。
両方とも島のものではないのだから。
しかし、そのときの安田青年の目には
東京の月がその長島の満月に見えたのだという。