役者流 スタンダップ・コメディ決定版

永田町 星陵会館ホール 18年12月7日

自由席 前売券 3000円
観客数 250人 
午後7時〜午後8時40分時


この出演者の顔ぶれは濃すぎると思われる会があった。
福本ヒデ、松下アキラ、すわ親治、森はじめ、
九十九一、重田千穂子、渡部又兵衛、ミスター梅介、
だるま食堂、オオタスセリ、モロ師岡である。

滝大作の創案・構成によるスタンダップ・コメディである。
スタンダップ・コメディとはなにか。
芸人が立ってやる芸でジョークを連発するコメディである。
本音を語るおもしろだという。

それを日本語に無理に訳すとすれば漫談ということになるが
イメージは漫談とはちょっと違うと滝大作はいう。
芸人が一人で観客に向かって語りかけるスタイルだという。
そのパリエーションを楽しんでほしいという。

福本ヒデは安倍総理の物真似である。
物真似といっても、その発想の真似だからこれは面白い。
家内のアッキーは頭もいいし、愛嬌もいいとはいわれますが、
だれも顔がいいとは言ってくれません、とぼやいて笑わせる。

福本ヒデと同じくザ・ニュースペーパーのメンバーである
松下アキラはこれまでの当たり芸小泉総理から
こんどはコンドリーザ・ライス米国務長官で登場。
捨てる神(小泉総理)あれば拾う神(ライス国務長官)である。

ところで、ライス長官のライスは蚤なのか米なのか。
日本人はLとRの発音が明確でないということを
茶化す笑い話として誰もが知っているこういうのがある。
日本人がアメリカでご飯をくださいといったという。

その日本人はご飯のつもりでライスと言ったのだが、
LとRの発音が違っていたために、
蚤をくださいと聞こえたという話である。
ライスは米国の長官だから米でしょうというのが穏当な落ち。

もう一つ、ライスは蚤だという落ちもあるが、
そっちのほうは国際問題を起こしかねないので
ここではちょっと書けない。
容貌の恐さまでライスそっくりなので場内爆笑だった。

すわ親治の一言も言葉を発しない芸には笑わされた。
「ねえ、ミルク〜」という甘い声で唄う女歌手の歌に合わせて
口パクでその歌詞をそのまま再現するのだが、
とある瞬間芸で思わず吹き出してしまった。

森はじめはおもしろい。
刑務所を出てきた男のぼやきである。
笛がならないとお風呂にはいれないというのがおかしい。
いつ見てもおかしいのは森はじめのとぼけた味わいにある。

九十九一は老テキ屋の回想である。
寅さんがやっていた啖呵売をまじえて
客の心を引きつける。
じつは半分ぼてけいるという落ちである。

重田千穂子は初めて見る女芸人である。
NHKテレビに出ていたというが
庵主はテレビを持っていないので
これまで知らなかった芸人である。

生活に疲れた女を演じる。
終演後の打ち上げで会った重田千穂子と
舞台のキャラクターの落差に驚く。
俳優なのである。

渡部又兵衛は糖尿病棟に入院している老婦人の話。
糖尿病といえばご本人がそれで片足を取ってしまったという
事実があるからその病気を笑っても違和感がない。
持病を笑えるようになったらその患者の心は治っている。

ミスター梅介は珍しくシリアスに登場した。
いつもの芸を知っている人が見ると、
今日はどこで崩れるのかと心配になるが、
そうはならず最後まで3億円犯人を演じきった。

そのあとに出てきたのが美女3人組のだるま食堂である。
この3人組は今日の会のテーマからいうと色物である。
滝大作がぜひ見たいということでの出演だったという。
なぜだるまかというと3人の名前の頭文字である。

豊かな胸、大きなお尻の3人の名前は、
一人はダイアナ、一人がルーシー、
そして三人目がマリアでダ、ル、マである。
例によってにぎやかである。

オオタスセリは飛込み出演である。
当初の出演予定にははいっていなかった。
ネタはラジオ体操、替え歌、ウォーキングと繋ぐ。
ラジオ体操のラストの表情が笑いをさそう。

最後のモロ師岡はサラリーマンである。
会社帰りにスーパーに立ち寄った男の話。
5時で仕事を終えて帰るのだから模範亭主だ。
奥さんがいたらなら、でドッと笑いが。

どの一人の芸も中身が濃い。
いうならば最初から最後まで大吟醸の世界だった。
口先一つ、体一つでこれだけの面白さを表現できるのである。
スタンダップ・コメディの世界は広い。